「結婚しない」場合、持ち家と賃貸どっちがいいの?【ファイナンシャルプランナー fumicoさんに聞いてみた】

ひとり暮らしのお悩み相談 

2025.07.01

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ひとり暮らしの人生や生活の質を高め、人生を幸せに歩める人を増やすことをミッションに研究活動を行う「+ONE LIFE LAB」では、『ひとり暮らしのお悩み相談』を実施中。
今回はファイナンシャルプランナー fumicoさんに質問をぶつけてみました!

【お悩み(1)】NISAや資産運用が分からない!まずは何からすればいいの?(Hさん・30代)

(Hさん)NISAや資産運用が話題になっていますが、何から始めたらいいか分かりません。現在、月10万円ほど資産運用にまわせそうなお金がありますが、そのくらいの金額で初心者にもおすすめの資産運用方法や考え方があれば教えてください!

(fumicoさん)まずは最初にやるべき3つのコト!

(fumicoさん)資産運用にまわせそうなお金が月10万円あるとのこと、しっかりと家計管理をしておられて素晴らしいと感じました。ただ、焦りは禁物。Hさんは30代とのことですので、この先転職や結婚などにより、思いがけずまとまったお金が必要になる可能性もあります。
初心者であれば、最初に次の3つのコトをやっておきましょう。

① 生活防衛資金の準備

生活防衛資金は、予想できないまさかの事態(急な病気や怪我、天災、お勤め先の倒産やリストラ、冠婚葬祭など)に備えるお金で、一般的には生活費の6か月分が目安ですが、ひとり暮らしの場合は1年分あると安心です。このお金は、すぐに引き出せて元本割れのおそれがない、現金や普通預金で準備しておきましょう。

② リスク許容度の確認

ご自身がどの程度の金額なら損失を受け入れられるか(家計が立ち行かなくなる・仕事や日常生活が手につかなくなるのはアウト)を確認しましょう。リスク許容度は年齢や家族構成、性格、投資の知識や経験、余剰資金や収入の額によって変わってきます。NISAでの投資を始める場合はこの範囲内で行ってください。

③ ライフプランを考える

ライフプランとは、「自分の思い描く人生や叶えたい未来」のコト。大まかで構いませんので、何年後のどのようなライフイベント(転職・起業・引越・海外旅行など人生の節目となる出来事)にいくらぐらいのお金が必要かイメージしてみてください。数年以内に使うことが決まっているお金は、定期預金や個人向け国債など安全性の高い運用方法で準備し、10年以上先に使うまたは使い道が決まっていないお金は、収益性を期待してNISAでの投資に振り向けるのがおすすめです。

NISAでの投資を始める場合は、まず銀行や証券会社等でNISA専用の口座開設が必要です。資産運用の王道は、「長期・積立・分散」投資。毎月一定額、投資信託を購入する「投資信託の積み立て」なら、少額でも分散投資を行うことができます。
投資信託の中でも、全世界の株式に投資するようなインデックスファンドであれば、低コストでリスクを分散させながら、世界経済の成長に従ってご自身の資産を育てていくことを期待できます。

最近では、定期預金や個人向け国債の金利も上がってきていますので、月10万円のうち一部をNISA口座での投資、一部を積立預金(または個人向け国債の購入)としてもいいですね。さらに、自己投資のための書籍購入や資格取得にお金を使うこともおすすめです。

【お悩み(2)】「結婚しない」場合、持ち家と賃貸どっちがいいの?(Jさん・40代)

(Jさん)基本的には結婚するつもりはなく、シングルライフを楽しんでいく予定です。ただ独身の場合、持ち家と賃貸どちらが最適か悩んでいます。いまは都内に住んでいますが将来は田舎暮らしもいいなと思う一方で、高齢になると家を借りることができない(賃貸で住めない)という噂も聞き、やはり持ち家があったほうがいいのかなとも思っています。アドバイスください!

(fumicoさん)判断する際のポイントはコレ!

Jさんは充実したシングルライフを楽しんでおられるのですね。住宅の購入は、人生で1番高価な買い物とも言われ、子どもの教育資金・老後資金と並んで「人生の3大費用」のひとつです。持ち家と賃貸にはどちらもメリットとデメリットがあり、ご自身の価値観や生活スタイルによって、何がベストかは変わってきます。

判断する際のポイントをまとめておきますね。購入のメリットは、設備や機能の充実、間取りの選択肢の多さが挙げられます。一方注意点は、住み替えの難しさやローン返済の負担。

これに対して賃貸のメリットは、住み替えのしやすさや購入時の頭金・修繕費など大きな支出が要らないこと。一方で注意点は家賃の支払いがずっと続くことや、書いておられるように、高齢になると家賃支払いや孤独死への懸念から、賃貸契約をしづらくなる可能性があるところです。最近では「セーフティーネット住宅」といって、高齢者やひとり暮らしの方が安心して入居できるための住宅も増えてきていますが、選択肢はまだ十分ではありません。

Jさんは将来の移住も視野に入れておられるとのこと。持ち家を購入するのであれば、まずは具体的なライフプランを固めてからがいいでしょう。その際には、高齢になってからも暮らし続けやすい環境であるか、売却しやすいかといった視点も加えてみてください。
独身の方が持ち家を購入する場合、特に注意したいのは返済プラン。一般的に、住宅購入時はローンを組むことが多いですが、万が一ご自身の収入が失われてしまうと、途端に返済計画が行き詰まってしまうことに。住宅ローンの借入額や毎月の返済額に余裕を持たせることや、変動金利型を選ぶ場合には、金利が上昇しても無理なく返し続けられることを慎重に検討する必要があります。
Jさんがお住まいに求めることや、ローンを組んだ場合の返済計画などを総合的に判断して、賃貸か購入かを判断されることをおすすめします。

【お悩み(3)】定年まであと5年…!今からでもできるお金管理は?(Aさん・50代以上)

(Aさん)定年まで後5年。今からでも間に合う定年後のお金の管理の仕方が知りたいです。現在独り身のため、病気や介護になった時や、終活(今住んでいる土地や建物)のためのアドバイスをおしえていただきたいです。

(fumicoさん)今は人生100年時代!定年後に心がけたいこと

50代以上のAさん、長くお勤めを続けてこられたこと、本当に感服致します。定年を迎えることは、人生の大きな一区切りになりますね。

まず気を付けたいのは、退職金などで一度に多額のお金が入った時に、気持ちが大きくなってしまわないようにすること。預金残高が増えたからと散財したり、金融機関などに勧められるがまま金融商品を買ったりするのは避けましょう。基本的には、働いていた時と同じ金銭感覚で生活することが大切です。

また、これまでは毎月お給料が振り込まれていましたが、年金は2か月に1回(偶数月)となります。65歳からは介護保険料の金額が上がる方も多いので注意が必要です。
次に、お住まいの「地域包括支援センター」(自治体が設置する、高齢者のための総合的な相談窓口)の場所と連絡先を確認しておきましょう。こちらでは介護認定の申請手続きもできますし、自治体によっては高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるための様々な支援を行っている場合も。困った時の相談先として、必ず覚えておいてくださいね。

最近は、自治体や社会福祉協議会が終活のサポートをしているところもあります。自治体のホームページなどで確認しておきましょう。住んでいる土地や建物は、遺したい相手がいる場合は遺言書を作成しておくことが必要です。不動産・金融資産を含めた資産、保険契約などの一覧を作っておくことは、家計管理の助けにもなります。

今は人生100年時代。65歳で退職しても、その後の人生はまだまだ続きます。規則正しい生活や定期健診を受診して健康寿命を延ばすことを心掛けましょう。
「やりたいこと(行ってみたい場所、食べてみたいもの、始めてみたいコトなど)リスト」を作り、新たな趣味や生きがいを見つければ、ますます人生は楽しくなりますね。

fumicoさんありがとうございました!
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