SPECIAL ambassador COLUMN Vol.18

自宅にいながら学び直し!
キャリアを見据えた
リスキリングとは?

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自宅にいながら学び直し!
キャリアを見据えたリスキリングとは?

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コロナ禍による大きな社会変動を目の当たりにした20代、30代のビジネスパーソンの中には、今後のキャリアの築き方に悩む人も少なくないでしょう。

「この会社で仕事を続けていて大丈夫なのだろうか?」
「新しいスキルを身につけて、仕事選びの幅を広げたい」

このような気持ちを持つビジネスパーソンに向けて、今回はキャリアを見据えたリスキリング(スキルの再開発)を解説します。

リスキリングとは?

リスキリングとは、「Re・skilling」つまりスキルの再開発という意味の言葉です。
転職あるいは今の会社で、キャリアアップするために必要なスキルを獲得することを指し、近年はデジタル技術に対応したスキルのニーズが高まっていることから、デジタル分野のリスキリングが注目されています。

リスキリングに似た言葉に「リカレント(学び直し)」があります。
こちらは新しい知識を学ぶためにいったん「職を離れる」ことが前提になっている概念で、日本では社会人大学院や社会人向け専門学校などがあります。
リカレントは、転職や再就職へのハードルが低く「働く→学ぶ→働く」というキャリアプランが可能な欧米で広く普及していますが、日本の雇用環境ではやや難しいかもしれません。

今リスキリングが重要なわけ

デジタル技術が進み、多くの業務で自動化やAIによる効率化が進んでいます。
身近なところでは、レジ台にカゴを置けばバーコードを読み取ることなく一瞬で合計金額がわかるセルフレジや、インターネット通販の問い合わせ対応をするAIチャットボットなどが挙げられます。

このようなデジタルによる効率化が進むと、それまで人力で対応していた部門の統合や削減が進み、従来の職種は大幅に少なくなってしまいます。
実際に、銀行やJRで窓口担当者の大規模な削減を行なったニュースもありました。

このデジタル化の流れは「第4次産業革命」とも言われ、日本は官民一体となってデジタル技術の活用を推し進めています。
ところが、三菱総合研究所によると、日本では職種の「需要と供給のミスマッチ」が起きており、2030年には事務職で120万人、生産職で90万人が過剰人員となる一方で、デジタル人材を含む専門職は170万人が不足すると予測されています。

実際のところ、あらゆる産業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなか、日本ではデジタル技術を「作る人」「使いこなす人」の両方が足りていません。
そのため「デジタルスキルを身につけた人材が欲しい」という国と経済界の両方のニーズから、デジタル技術のリスキリングの重要性が増しているのです。

仕事をしながらリスキリングに取り組む方法

すでにデジタル分野の専門人材は争奪戦が始まっており、日本の優秀な技術者が、日本企業の数倍の年収で海外の企業にスカウトされることも珍しくありません。
この流れが続くと、日本国内の企業でも、デジタル人材の給与は上昇していくでしょう。

「自分もデジタルスキルを身につけたい」と考える人は、どのように勉強すれば良いのでしょうか。

もっとも効率的な方法は、自分の会社に従業員に対するリスキリングを後押ししてもらうことです。会社から受講料の補助や業務時間中の講座受講が認められれば、プライベートの時間を削ることなく新しいスキルを獲得できるからです。

もともとリスキリングは、企業が従業員にスキルアップの講座を提供するという概念です。
ところが、日本の企業は従業員の人材育成に投資を行わない傾向が強く、GDP比ではわずか0.1%です。アメリカは2.1%、ドイツは1.2%ですから、日本の0.1%は非常に低い割合といえるでしょう。

国は人材開発支援助成金などを設定して企業側に人材育成を促してきましたが、実際に助成金を活用している企業の数はあまり多くないのが現状です。

しかも、リスキリングはOJTとは異なり「今の業務に直接は関係ないスキル」を獲得する学びです。会社側もすぐにはOKしにくいかもしれません。
交渉は、上司や人事部に「今後、このようなスキルで会社に役立ちたいので、業務の一環としてトレーニングさせて欲しい」とアプローチすると良いでしょう。その際、同僚や他部門の人と共同で提案すると、要望を受け止めてもらいやすくなるかもしれません。

たとえ会社からリソースの提供がなくとも、デジタルスキルの学習は、自宅でネット環境があれば時間を問わず取り組めるeラーニング講座で進められますので、安心してください。 仕事後のスキマ時間に、少しずつでも学びを積み重ねてスキルを伸ばしていくのも良い方法です。

無料で学べるリスキリング講座は?

会社に頼らず、自力でリスキリングに取り組む人におすすめしたいのが、公的機関が開設した無料のリスキリング講座です。

2022年6月に、国や地方自治体、企業など49の参画団体から構成する「日本リスキリングコンソーシアム」が発足しました。これは、各企業が独自に開発していた学習コンテンツを、一箇所にまとめて探しやすくしたプラットフォームです。

日本リスキリングコンソーシアム
https://japan-reskilling-consortium.jp/

「日本リスキリングコンソーシアム」に登録されている多くの講座は無料で(一部有料講座もあり)、正社員・非正規社員関係なく、また専業主婦や離職中の人であっても、誰でも自由に動画講座を受講できる便利な仕組みです。希望者は転職支援も利用できます。

登録されている講座は、MicrosoftやAdobe製品のトレーニングやGoogleの認定資格が取得できる講座、マーケティングを体系的に学べる講座、ノーコード開発ツールの実践講座など、現在の仕事にすぐ役立ちそうなものから職種の幅を広げられるスキルまで、実に多様な講座が揃っています。
また、企業内で集団オンライントレーニングを進めるための学習コンテンツも用意されていますので、会社でスキルアップ研修を受けたい場合も参考にしてみてください。

これ以外にも、無料で学べるリスキリング講座は数多くあります。ここでは公的なポータルサイトを2つ紹介します。

マナビDX
https://manabi-dx.ipa.go.jp/
経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が開設したポータルサイトです。デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場として、初心者向けのZoomの使い方講座から上級者向けの講座まで、さまざまな動画講座が用意されています。

JMOOC
https://www.jmooc.jp/
無料で学べる日本最大のオンライン大学講座のプラットフォームです。
全国の大学から専門的な動画講座が提供されており、デジタル技術以外の講座も豊富です。受講可能期間に制限があったり、課題提出や修了証の発行があったりするため、リスキリングというよりは社会人大学に近い形になります。

新たな学びを始めてみよう

新型コロナの影響で日本のデジタル化は進んだように見えますが、それでも諸外国に比べると遅れています。
今は官民あげてデジタル人材の育成・確保を推進している段階で、政府は3年間で4千億円の政策パッケージを公表しています。

つまり、今は無料でデジタル技術のリスキリングに取り組める絶好のタイミングといえるでしょう。
5年後、10年後の働き方を見据えて、新たな学びを始めてみるのも良いかもしれませんね。
この記事があなたのキャリアアップの参考になれば幸いです。

久慈 桃子
久慈 桃子
想いを翻訳する編集ライター
大学卒業後、出版社の編集や観光協会の広報、商工会の職員などを経て編集ライターとして独立。リモートワークで仕事と子育てを両立しつつ、家庭菜園にも精を出す。好きな野菜は春菊(育てやすいから)。アロマテラピー検定1級、2級FP技能士。
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