クラウドファンディングは
推し活!? 支援の仕組みと
注意点を解説
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様々な取り組みやアイデアに対して、インターネットを介して資金提供という応援ができる「クラウドファンディング」をご存知ですか?
資金提供というと銀行の融資や巨額の支援が浮かびますが、クラウドファンディングは数千円〜の少額支援を多くの人たちから集める仕組みです。
有名な事例では、アニメ映画『この世界の片隅に』が、クラウドファンディングを利用して3,374人から4,000万円近い制作費を集めて話題となりました。
自分が推したいプロジェクトを見つけて、資金提供という具体的な手段で応援し、提供したお金の使われ方も最後まで見守っていけるのは、「推し活」としても気持ちが良いものです。
今回は、透明性と面白さを持つクラウドファンディングについて紹介します。
クラウドファンディング(crowd funding)は、寄付文化が根付いているアメリカが発祥。インターネットを通じて、不特定多数の人から購入・寄付・金融といった形でお金を集める資金調達の仕組みです。
日本のお寺などで行われていた「人々から寄付を集めて寺社を修繕する」仕組みに近いのですが、インターネットを介して、より多くの人から気軽に資金を集められるという違いがあります。
日本におけるクラウドファンディングは、東日本大震災の被災地支援をきっかけに一般に普及しました。
現在では個人やベンチャー企業、自治体などが様々なプロジェクトで資金を募る仕組みとして活用しています。
クラウドファンディングは、資金提供の方法やリターンの扱いから、大きく3つの種類に分かれています。具体例をもとに整理してみました。
1:購入型
東日本大震災の被災地復興の手段としても活用されたクラウドファンディングです。商品やイベント参加権などを購入することで、相手を経済的にサポートできます。
例えば、地方の農業を支援する目的で資金を提供し、リターンとして農産物や収穫イベントの参加権が手に入るプロジェクトなどがあります。
一般的な商品・サービス購入の流れと似ているため、初めてクラウドファンディングに触れる人でも参加しやすいでしょう。
2:寄付型
資金提供に対するリターンを求めないクラウドファンディングです。中でも「寄附金控除の対象」と明記されたプロジェクトは、確定申告の際に寄附金控除が利用でき節税につながります。
寄付型は一般的な慈善団体への寄付や自治体へのふるさと納税と似ていますが、違いは「被災した○○小学校の図書室を再建」など使い道が限定されており、プロジェクトの進捗状況が公開されるなど、提供したお金の使われ方がわかりやすい点が挙げられます。
近年は自治体が募集する「ガバメント・クラウドファンディング(ふるさと納税型クラウドファンディング)」が増えており、災害被災地や過疎地域の復興に資金を募っているケースも見られます。
3:金融型
出資した資金に対して、金銭的なリターンがあるクラウドファンディングです。金額的にはクラウドファンディングの中で高いシェアを占めています。
ベンチャー企業や中小企業が資金調達に利用しており、例えば「新商品○○の開発費用を支援」という形で会社に対して投資や融資を行い、契約期間終了後に、配当や利子がプラスされた出資額以上のお金が戻ってくる仕組みです。
また、未上場会社の株式を購入し、将来その会社が上場したときに株式を売却して利益を狙えるタイプもあります。
ただし、これら金融型は、事業がうまくいかずリターンが出資額以下になるケースもあるため、注意が必要です。
クラウドファンディングは、インターネットを介してプロジェクトの途中経過や最終結果なども随時公開されるため、自分の提供したお金が「何に使われているか」がわかりやすいというメリットがあります。
「応援したい」という気持ちをお金で表せるリアル「推し活」ともいえるでしょう。
被災地支援や地域振興などの社会貢献性の高いプロジェクトや、職人・生産者の熱意がつまったプロジェクト、新しいビジネスモデルを立ち上げるプロジェクトなど、普段の生活圏から少し離れた場所や団体と接点ができるのも面白い点です。
プロジェクトによっては、感謝イベントや農産物の収穫体験、新規ビジネスのユーザーコミュニティなど、資金提供者同士が顔を合わせる機会もあります。同じ「推し活」をする仲間ができるかもしれませんね。
ただし、クラウドファンディングはすべてが社会貢献やベンチャー応援につながるプロジェクトというわけではありません。自分のお金を提供するにあたり、注意したい点も見ていきましょう。
クラウドファンディングの中には、大手企業が市場調査を兼ねたテスト販売を目的としたプロジェクトや、海外の商品を予約販売する形のプロジェクトもあります。
自分のお金を「少しでも社会に役立てたい」と考える人にとっては、少し方向性が異なるプロジェクトもありますので、支援を募る目的をよく確認しましょう。
また、金融型のクラウドファンディングでは、計画通りに事業が成長せず、リターンが投資金額より少なくなるケースもあります。実際に筆者も支援先のプロジェクトが不調で、元本割れを経験しました。
金融型は、事業の成長性をよく見極めるか、「元本割れしても惜しくない」と思えるプロジェクトに投資するようにしましょう。
また、購入型のクラウドファンディングでは、事業が計画通り進まず商品の発送が遅れることは珍しくありませんが、ごく稀に、商品が届かず業者とも音信不通になってしまう「リターン不履行」があります。相手が信頼できるかどうか、よく確認してから支援するようにしましょう。
クラウドファンディングは、銀行の融資などとは異なり、個人が企業や団体を応援できる仕組みです。
支援を受けた側から、提供したお金の使われ方や事業の進捗状況が丁寧に報告されるのも、応援している実感が持てて楽しいものです。リターンとして完成した商品をいち早く使えたり、農産物の収穫に参加できたりと、嬉しいメリットもあります。
もし、「何か有意義なことに使いたい」と思うお金があるなら、クラウドファンディングで誰かを応援するために使うのも、素敵ではないでしょうか。
この記事が、あなたの生き方の参考になれば幸いです。