不機嫌ハラスメント(フキハラ)とは?
感情ダダ漏れタイプは要注意!
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「フキハラ」という言葉を聞いたことがありますか? 「フキハラ」とは「不機嫌ハラスメント」の略称です。では、不機嫌ハラスメントとは一体どんなハラスメントのことを指すのでしょうか?
今回は「不機嫌ハラスメント」について、その定義や原因などを紹介します。自分の感情を表に出しがちな人は、ぜひ参考にしてみてください。
冒頭でもお伝えした通り「フキハラ」とは「不機嫌ハラスメント」の略称です。
「不機嫌」+「ハラスメント」で「不機嫌ハラスメント」。これを略して「フキハラ」と呼びます。
ただし「不機嫌になった=フキハラ」ということではありません。
不機嫌な態度を前面に出すことで、周りの人を苦しめたり悩ませたりする
「不機嫌ハラスメント」と呼ぶのは、この定義に当てはまる行為のみです。
というのも「ハラスメント」とは「嫌がらせ」や「いじめ」を指す言葉ですので、誰かの不機嫌な態度が必ずしも「ハラスメント」になるとは限りません。
反対に、ハラスメントをしている自覚が本人になくても相手がその態度によって苦しんだり悩んだりしたのなら、その行為は立派なハラスメントということです。
では不機嫌ハラスメントに当てはまる行為とは、一体どんなものなのでしょうか?
フキハラに当てはまるのは、例えばこういった態度です。
・明らかに機嫌の悪そうな顔をする
・大きな音を立てる、物に当たる
・「機嫌が悪いから○○して/○○しないで」と言う
・話しかけても無視をする
・威圧的な態度を取る
・機嫌が悪い理由を聞いても言わない …etc.
要は、八つ当たりですね。それも、自分より立場の弱い相手に対してのみ表すことが多いようです。
「機嫌が悪いんだから仕方ないでしょ」という態度を前面に押し出して相手の言動をコントロールしたり抑圧したりしようとする行為は、フキハラに当てはまる恐れがあります。
特に「私の機嫌が直るまでは我慢して」と言っているように見える態度は要注意です。
では、一体なぜ機嫌の悪さを前面に出してはいけないのでしょうか?
フキハラに注意しなければいけない最大の理由は、その行為がハラスメントに当たるからです。
ハラスメントという名前が付くということは、周りの人に不快な思いをさせてしまっているということ。誰もイヤな気持ちにならないのであれば、そんな言葉は生まれません。
またフキハラの場合、内容によっては「パワハラ」や「モラハラ」にも当てはまる可能性があります。
特に“不機嫌な態度を表すのが自分より立場の弱い相手に対してのみ”という場合、相手に想像以上の精神的苦痛を与えている恐れがあるため注意しなければいけません。
では「パワハラ」や「モラハラ」に当てはまらないフキハラであればしてもよいのかと言えば、それもまた違います。
なぜなら、フキハラの被害者は本人が思う以上に苦痛やストレスを感じるものだからです。
フキハラが「ハラスメント」と呼ばれる理由も、ここにあります。
例えば、フキハラによって周りが抱く感情としてまず考えられるのは「気を使う」です。
自分の感情を素直に表現することは悪いことではありませんが、それが負の感情であればあるほど周りは気を使って接しなければいけなくなります。
そして次に考えられる感情が「イライラ」です。
不機嫌な態度を前面に押し出すと、相手もイライラします。
最初は本気で心配したりなだめてくれたりするかもしれませんが、やはり相手も人間です。頻繁にそういうことがあると、次第に相手をもイラッとさせてしまう可能性は大きいでしょう。
もちろん個人差はありますが、仲の良い相手であればあるほど感情は伝染しがちです(こういった心理を、専門用語で『情動感染』といいます)。
「この人と一緒にいると何か疲れるし、イヤな気持ちになることが多い」
そんな風に思う相手を、あなたは好きになれるでしょうか?
つまり不機嫌な態度を前面に出し続けることは、自ら嫌われ者になろうとしているようなものなのです。
「親しい相手だから大丈夫」「文句を言われないから大丈夫」と思っていると、いつかあなたの周りから誰もいなくなってしまうかもしれません。
誰もが自分の考えを相手に伝えるとは限りませんので、不機嫌な気持ちを態度に出しがちな人は「相手が何も言わない=何も思っていない」というわけではないことをぜひ覚えておいてほしいと思います。
一口にフキハラと言っても、そのタイプは2つのケースに分かれます。
1つは、周りに不快な思いをさせていると分かった上であえて続けているケース。
もう1つは、そもそも「自分の言動が周囲にどんな影響を及ぼすのか」を考えていない(考える習慣がない)ケースです。
いずれにしても、そうなった原因は人それぞれですので一概には言えません。ですが、やはり育った環境や本人の性質によるところが大きいのではないでしょうか。
例えば幼い頃から“親にフキハラをされるのが当たり前”という環境で育ってきた人は、無意識のうちに「機嫌が悪い時は人に当たってもいい」という価値観を抱いているかもしれません。
また普段から「人は人、自分は自分」と線引きをハッキリしている人は不機嫌な人が近くにいても気にならないため、もし自身が誰かにフキハラをされたとしても迷惑だとは感じない可能性があります。
自分の言動がハラスメントだとは気付かない人も実際にいますので、特に普段から自分の感情を表に出しがちな人は自分の言動を一度じっくり見つめ直してみてもいいかもしれません。
フキハラを防ぐためには、自分の機嫌に振り回されないように日頃から心掛けておくことが大切です。
どうしたら自分が機嫌良くいられるのか、不機嫌な自分をどうしたら上手にコントロールできるのか…?
これを機に、ぜひ考えてみてほしいと思います。