オートロックだけでは不十分!
賃貸でも可能な「マンションの防犯対策」
image photo
物騒な事件が話題に上がることの多い昨今、防犯対策には興味があっても「何をすれば効果的なのか分からない」「賃貸物件だから自分でできることはない」などと思う人は少なくありません。
そこで今回は、賃貸物件でも可能なマンション・アパートの防犯対策を4つ紹介します。不安がある人も、そうでない人も、マンションやアパートにお住まいの方はぜひ参考にしてみてください。
以前の記事(春の引っ越しに備えて…物件の希望条件を絞る「3つのポイント」)でもお伝えしたように、オートロック付きのマンションに住んでいても外部から侵入される可能性はあります。
むしろオートロック付き物件であるが故に危機管理を怠ってしまい、そのせいで被害に遭いやすい状況となるケースは少なくありません。
特に多いのが、鍵の掛け忘れや意図的な無施錠による被害です。
警視庁の資料によると、2022年に発生した住宅への侵入窃盗事件は1万6,524件。そのうち、なんと7割以上の事件が鍵を掛けていないことによるものでした(※1)。
しかも驚くことに、マンション入り口のオートロックは“ある物”を使うことで簡単に解錠できてしまうのだそうです(※2)。
またオートロック付きマンションは住人以外の侵入を想定しておらず、一度マンション内に侵入してしまえばあとは自由に移動できるのが一般的。
中にはエレベーターや各フロアの入り口にオートロックが付いている物件もありますが、一般的な設備としてはまだまだ普及していないのが現実です。
そこへ加えて鍵を掛け忘れる(または最初から掛ける気のない)住人が多いとなれば、むしろ犯人にとってはオートロック付きマンションの方が部屋に侵入しやすい環境となっている可能性もあります。
では、どうすれば侵入による犯罪から身を守ることができるのでしょうか?
ここからは、賃貸物件でも可能なマンション・アパート向けの防犯対策を紹介します。
まず大前提として、何より重要なのは玄関や窓の鍵を必ず掛けておくこと。防犯対策としては初歩中の初歩ですが、実際のところ徹底できていない人が多いのも事実です。
先ほども紹介したように、共同住宅で発生している空き巣の多くは『無締り(むじまり:玄関や窓などに鍵を掛けていないこと)』によるものでした。
つまり、鍵さえしっかり掛けていればそれだけで防犯効果は高まるということです。
また外出する時だけでなく、なるべくなら在宅中も常に施錠しておくことをオススメします。
なぜなら、在宅中に犯人が侵入してくるケースもあるからです。
同資料によると、2022年に発生した住宅への侵入窃盗事件は約3割が『忍び込み』や『居空き(いあき)』によるものでした。つまり、3件に1件の侵入窃盗事件は住人の在宅中に起こっているのです。
なお『忍び込み』は住人が寝ている間に侵入することを指し『居空き』は住人の隙を狙って侵入することを指します。
さらに、外部から侵入されることで起こる事件は窃盗だけではありません。
例えば性被害の場合、最も多い発生場所は共同住宅です(※3)。
「ちょっとゴミを出しに行くだけだから」と無施錠のまま出掛けたり、夏に窓を開けたまま寝たりする人は少なくないと思います。
ですが防犯の観点から見れば、こういった状況は実に無防備です。
そして「中高層階に住んでいるから大丈夫」と安心している人は、もう少し危機感を持った方がよいかもしれません。
屋上からロープを垂らしたり、配管を伝ってよじ登ったりする手口で高層階の部屋へ侵入した事件は実際に起こっています。
たとえ短時間の外出でも、高層階に住んでいたとしても、「これまで大丈夫だったから大丈夫」とは言い切れないハズです。
鍵の掛け忘れと不用意な無施錠には、くれぐれも注意してくださいね。
次に紹介するのは、鍵を強化する方法です。
たとえしっかり施錠をしたとしても、それだけで安心できるとは限りません。
例えば、空き巣でよく使われる手口は『ガラス破り』という方法です。
ガラス破りとは、文字通りガラスを割って侵入する方法のこと。共同住宅の場合、窓からの侵入方法で最も多いのが『ガラス破り』です。
ただ専門家によると、ガラスを割る目的は“侵入をするため”というよりは“鍵を開けるため”であることが多いそう。
そこで有効なのが、玄関や窓の鍵を簡単には開けられない状態にすること。鍵さえ簡単に開けられなければ、仮にガラスを割られたとしても侵入を防ぐことができます。
中でもオススメなのが、鍵を二重にして『ツーロック』にする方法です。
賃貸物件の場合は玄関や窓に『補助錠』を取り付ければ、手軽にツーロック体制を実現できます。
窓の補助錠
またベランダの窓は備え付けの鍵(クレセント錠)を開けにくいタイプに交換したり、ガラスに防犯フィルムを貼ったりするのもオススメです。
例えば、もともと付いていた鍵を『ダイヤル式のクレセント錠』や『鍵付きのクレセント錠』と交換することで防犯性を格段に高められます。
ダイヤル式のクレセント錠(画像引用元:kunolock)
いずれも賃貸物件に対応した商品が市販されていますので、ぜひチェックしてみてください。
マンションやアパートで次に注意しなければいけないのが、合鍵による侵入です。
警視庁の資料によると『施錠開け』という手口で行われる侵入窃盗のうち、玄関から侵入する手口として最も多いのが合鍵によるものでした。
怖いのは、知らない間に合鍵を作られてしまうケースがあることです。
もちろん中には元恋人や知人による事件もありますが、全く知らない人に合鍵を作られて侵入される事件も少なくありません。
では、どうすればこういった事態を防げるのでしょうか?
勝手に合鍵を作られないためには、まず大前提として鍵を不用意に置いておかないことが大切です。
「万が一のために」とメーターボックスやポストなどに鍵を置いている人は、ぜひ他の方法を探してみてください。
また、鍵の種類によっては刻印してある番号さえ分かれば鍵自体が手元になくても簡単に複製できてしまうため、鍵の番号を隠しておくのも効果的です。
オススメなのは『キーキャップ』や『キーカバー』を着けておく方法。常に鍵番号を隠しておくことで、そのまま使うよりも防犯性が高まります。
加えて、先ほど紹介したツーロック体制を玄関ドアに導入しておけば、万が一の場合も(仮に合鍵を作られたとしても)簡単には侵入を許しません。
防犯対策に「やり過ぎ」ということはありませんので、ぜひ二重・三重の対策を検討してみてください。
ちなみに、キーキャップやキーカバーは市販されています。さまざまなタイプがありますので、これを機に一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
最後に紹介する防犯対策は、自身の防犯意識を高めることです。
どんなに防犯対策を施しても、意識の低い人には必ず「隙」が生まれます。犯人はその隙を狙ってきますので、高い防犯意識を持つことは想像以上に重要です。
そこでまず心掛けてほしいのが、常に背後を気にすること。
例えばマンションのエントランスに入る時やエレベーターに乗る時、玄関のドアを開ける時などは必ず後ろを振り返って不審な人がいないかどうかを確認します。
こういった習慣を身に付けると、隙が生まれません。
また女性の場合はエレベーターで知らない男性と2人きりにならないよう気を付けるほか、玄関に入ったら素早くドアを閉め、しっかりと鍵を掛けることも大切です。
こういった1つ1つの行動を習慣化することで、少しずつ自身の防犯意識を高めていけます。
そしてもう1つ心掛けてほしいのが、不在であることを悟られないようにすること。不在であることを悟られなければ、空き巣に入られる可能性を抑えられます。
具体的には、以下の方法がオススメです。
・照明やテレビをつけたまま出掛ける
(スマート家電やタイマーを使う方法も◎)
・郵便物をポストにためない
・洗濯物を干したまま出掛けない
(雨が降っても取り入れられず不在の証となる)
・留守番電話の応答メッセージは留守と分からないよう工夫する
(着信をスマホに転送する方法も◎)
・ドアスコープや新聞受けに「のぞき防止策」を施す
加えて、一人暮らしの場合は一人暮らしであることを悟られないように日頃から工夫しておくことで防犯対策となります。
ただし、いずれも不在かどうかをインターホンで確かめられた時には意味を成しません。万が一に備えて補助錠や防犯センサー(ブザー)、防犯カメラ(ダミーも含む)などの設置もあわせて検討してみてください。
物件を選ぶ上では魅力的な「安心感」ですが、そのせいで犯罪に巻き込まれてしまっては本末転倒です。
「○○だから大丈夫」「こんな所からは入ってこないだろう」といった考えが頭に浮かびやすい人は、その考えが隙を生むかもしれないことをぜひ知ってください。その上で、まずは徹底して施錠するところから始めてみてはいかがでしょうか。
防犯に関しては、自意識過剰くらいがちょうどいいのかもしれません。物理的な対策をしっかり施しつつ、防犯意識も同時に高めていけるといいですね。
(※1)令和4年の刑法犯に関する統計資料(PDF)|警視庁
https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R04/r4keihouhantoukeisiryou.pdf
(※2)元警察官が語る!泥棒の目線|一般社団法人 全国防犯啓蒙推進機構
https://pub.bouhan1.org/research-practice/thief/
(※3)痴漢等の性犯罪被害防止対策|警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/koramu2/koramu8.html
MR.サンデー「狙われた高層マンション」:空き巣にご用心!|防犯対策研究所(アルファセキュリティ株式会社)
https://alpha-biz.com/blog/id-4023/
アパート・マンションの防犯対策。集合住宅ならではの意外な盲点とは?|株式会社ウエラ名古屋
https://wella-security.com/info/residential-complex/
ALSOKみんなが作る!防犯何でもランキング|ALSOK
https://www.alsok.co.jp/security_info/security_enq/enq_bcnumber.html
失敗しない窓の防犯対策! 窓ガラスを空き巣から守るには!|株式会社ウエラ名古屋
https://wella-security.com/info/window/
窓ガラスの焼き破りの手口とは?効果的な対策方法をとろう!|鍵屋の鍵猿
https://sls.co.jp/kagizaru/other/post25938/
ツーロック(二重ロック)で玄関鍵の防犯対策を強化!特徴や補助錠をプロが解説|鍵屋の鍵猿
https://sls.co.jp/kagizaru/other/post30335/
合鍵を使って勝手に家に入られる?知らない内に複製されていたときの対処法とは|レスキューなび
https://sq.jbr.co.jp/library/572
留守中の防犯対策に照明が有効 !?|HOME ALSOK研究所
https://www.alsok.co.jp/person/recommend/041/
ドアスコープののぞき対策は必須! ドアスコープの危険性とは|ARUHIマガジン
https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-5060/