SPECIAL ambassador COLUMN VOL.53
女性のがん検診で自分を大切に!
ブレスト・アウェアネスのすすめ
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30代から40代は、自身の専門性や経験を活かし、仕事の面白さを実感できる時期です。そしてキャリアを積み重ねる一方で、趣味や親しい友人との時間を楽しむことができる充実した時期でもあります。

しかし、仕事とプライベートの両立に追われる中、つい自分自身の体を大切にすることを忘れがちになってはいないでしょうか。体調を崩してしまえば仕事もプライベートも楽しむことはできません。それだけでなく、中長期的な視点に立つと、自身の活動のバランスを保つためにも、健康管理は欠かせない要素です。

何もしなくても元気に過ごせていた10代〜20代を経て、意識して自分の体を大切にすることも、この年代に相応しいあり方です。そこで、この記事では30~40代の女性がより充実した日々を送るために、ぜひ受けて欲しい「女性のがん検診」を紹介します。

30代~40代の女性が気をつけたい「がん」

国立がん研究センターのデータによると、20代後半から50代前半の女性のがん罹患率は、男性よりも高くなっています。特に乳がんや子宮頸がんなど、女性特有のがんは30代~40代での発症が多く報告されています。

女性にとって、30代~40代は仕事やプラベートで忙しい毎日を過ごしているため、自分の体調管理に気を配る余裕がないことも少なくありません。この状況が、がんの早期発見を難しくしています。

ところが、この年代でがんを発症した場合、高齢者がなるよりも進行が早く、治療も困難になる可能性があります。そのため、30~40代の女性は定期的な健康診断を受け、がんの早期発見に努めることが大切です。

痛いと噂の乳がん検診の実態は?

女性のがんは、定期的に検診を受けることが早期発見・早期治療につながります。とはいえ、「乳がん検診は痛い」という評判を耳にして、検診をためらう人もいるでしょう。実際のところ、痛みはあるのでしょうか。

乳がん検診で痛いのは「マンモグラフィ」

乳がん検診には、大きく分けて二つの方法があります。一つはマンモグラフィ、もう一つは超音波検査です。
マンモグラフィはX線を用いて乳房の内部を詳しく調べる手法です。専用の撮影装置を使い、乳房を片方ずつプラスチック板でぎゅっと挟み、斜め方向と上下方向の2回X線撮影を行います。これが「痛い」と噂される原因です。筆者もマンモグラフィを受けたことがありますが、率直に言って「痛い」のは間違いありません。ただし、痛みは撮影を行う数十秒間だけ。撮影の合間に休憩も入るため、個人差はありますが「涙が出るほど痛い」レベルではないと思います。
一方、超音波検査は無痛です。腹部の超音波検査と同様に、胸にゼリーを塗って超音波の検査器具を密着させて行う手法で、特に痛みは発生しません。

マンモグラフィと超音波検査、どちらが良い?

30代の女性は乳腺が発達しているため、マンモグラフィで胸を挟んだ際に痛みを感じやすい人が少なくありません。どうしても痛いのが苦手な方は、超音波検査だけでも受けておくことを推奨します。しかし40代以降は乳がんのリスクが高まるため、超音波検査とマンモグラフィを併用してより精密な検査を受けることが望ましいとされています。なぜなら、それぞれの検査で見つかりやすい病変が異なっているためです。40代以降は、毎年マンモグラフィと超音波検査の2種類同時または1種類ずつ交互に検査を受けておきましょう。

乳房を意識する生活習慣=ブレスト・アウェアネス

国立がん研究センターのデータによると、日本人女性のがん罹患率の1位は乳がんです。また、生涯で乳がんに罹患する確率は9人に1人です。乳がんの早期発見には、日頃から乳房の状態を意識する生活習慣=ブレスト・アウェアネスが大切です。日頃から乳房のセルフチェックを行ったり、月経周期による変化を知っておいたりすることで、「いつもと違う」状態に気づき、早期に医療機関を受診できるでしょう。

詳しい乳房チェックのやり方は、以下のサイトを参考にしてみてください。
NHK|【乳がんセルフチェック】見て、触って、乳がんを早期発見
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_783.html

自覚症状が少ない子宮頸がん

子宮頸がんは、近年20代後半~30代の発症率が増加傾向にあります。初期症状が少ないため、自覚症状が出てから病気に気づく場合が多い厄介ながんです。子宮頸がんの初期症状は、膣からの出血や性交痛などがありますが、これらは他の婦人科疾患とも共通するため、子宮頸がんを疑うきっかけにはなりにくいのです。自己判断での早期発見が難しいうえ、自覚できる症状が出たときにはがんが進行していることも多く、早期治療が困難になるケースもあります。一方で、検診で早期発見すれば、子宮頸がんは完治する可能性が高い病気です。そのため、定期的な検診が非常に重要となります。

子宮頸がん検診では、医師が膣内に器具を挿入して子宮頸部を観察し、子宮頸部の細胞を採取して詳しい検査を行います。下着を脱いで足を大きく開いて検査を受けるため、子宮頸がん検診に抵抗を感じる人も少なくないでしょう。しかし早期発見・早期治療につなげるため、ぜひとも年1回の検査を頑張りたいところです。

女性のがん検診の受け方

乳がん検診・子宮頸がん検診は、安心して健やかな毎日を過ごすために欠かせないものです。ところが、その重要性を理解していても検診の受け方に迷う人は少なくありません。女性のがん検診の受け方は、主に以下の2つがあります。

集団検診

乳がん検診・子宮頸がん検診ともに、職場や自治体が行う健康診断や、人間ドックのオプションメニューで受けることができます。職場や自治体から検診費用の補助が出る場合もありますので、予約前に確認してみましょう。

個別検診

集団検診のタイミング以外でも、個人で婦人科のクリニックに行き検診を受けることも可能です。胸のしこりや不正出血など気になる症状がある場合や、自身の体調に不安がある場合には、専門的なアドバイスを受けられる婦人科での検査をおすすめします。

なお、乳がん検診・子宮頸がん検診ともに生理中の検査は避けてください。
早期発見が早期治療につながることを忘れず、定期的に検診を受けることが大切です。また、毎日の生活の中で自分の体調変化に敏感であることも大事です。例えば、体重の急激な変化や、長期にわたる疲労感、異常な出血などがあれば、すぐに医療機関に相談しましょう。

今回の記事が、ご自身のライフスタイルや体調に合わせて、適切な検診を選ぶ参考になれば幸いです。

writing by
SPECIAL ambassador
久慈 桃子
久慈 桃子
想いを翻訳する編集ライター
大学卒業後、出版社の編集や観光協会の広報、商工会の職員などを経て編集ライターとして独立。リモートワークで仕事と子育てを両立しつつ、家庭菜園にも精を出す。好きな野菜は春菊(育てやすいから)。アロマテラピー検定1級、2級FP技能士。
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